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体験学習法セミナー~対話を促し、気づきを深める「問いかけ」の力~


講師:垣内 芳文 (一社)日本体験学習研究所 研究員/

         Smile-Action Management ファシリテーター/中小企業診断士

   関根 健吾 (公財)キープ協会 環境教育事業部 部長

日時:2023年2月6日(月)~2月8日(水)

会場:清泉寮自然学校(公益財団法人キープ協会/山梨県北杜市高根町清里)


 積もっていた雪も解けてしまうような、暖かい日差しが降り注ぐ清里で、

「体験学習法セミナー~対話を促し、気づきを深める「問いかけ」の力~」が開催されました。講師は昨年に引き続き、日本体験学習研究所の垣内 芳文さん(以下かっきー)、キープ協会の関根(以下ラビット)のお二人。そして、全国から11名の参加者の皆様が清里に集まりました。


1日目

 少し緊張した空気で始まった開講式。ですが、今回のセミナーで持ち帰りたいものを

共有しあったり、アイスブレイクとしてゲームをしたりと、お互いのことを知っていくうちに、自然と緊張も和らいでいきました。


 室内で打ち解けあった後は、早速野外に出発です!

今回のセミナー最初の体験は、インタープリテーションのプロ、ラビットによる自然体験

プログラムです。広場に集まると、ラビットからバレンタインのプレゼント!ハート型の氷です!冷凍庫ではなく屋外で作られたこの氷から、清里の寒さを感じることができました。

 森の中に入って、八ヶ岳を見ながら方角を理解したり、しゃぼん玉を使って風向きを感じたりしながら進んでいくと、少し開けた場所にたどり着きました。ここで行ったのは、清里に住む、「ヤマネ」についての体験です。冬眠するときには、0度近くまで体温を下げることから、「氷ネズミ」とも呼ばれているヤマネ。そんなヤマネのぬいぐるみが隠れている

場所を全員で探したり、ヤマネが冬眠に使う場所で寝てみたり、温度を測ってみたりと、

実際にヤマネがどんな環境で生活しているのか、体験を通して理解することができました。












 外から帰ってきた後は、かっきーによるワークです。まずは屋外での体験活動をふりかえります。外でどんな活動をしたか、その時どんな感情になったか丁寧に振り返ると、体験の中で自分は様々なことに気づき、感動しているのだと知ることができました。

 講義では、体験学習法の基本的な構造や、問いかけの意味や効果など、今回のテーマに

関わることについて確認しました。

 問いかけは、相手に考えるきっかけを与えるもの。表には見えていない部分を引き出すもの。それらを踏まえたうえで、実際に問いかけをしてみます。テーマは「他己紹介」。

ペアの相手の情報を問いかけによって引き出し、最後にはそのペアの他己紹介を行うワーク

です。インタビューシートを基に、普段どんなことをしているのか、野外での体験では

どんなことを感じていたのか、などを聞いていき、相手がどんな人なのかを知っていきます。

 相手の想いを引き出したり、気持ちよく話してもらうための問いかけは、やってみるとかなり難しい!インタビューでの情報をもとに行った他己紹介の時間では、「もっとここを深く聞いておけばよかった!」という点も多く出てきました。逆に、問いかけを受けると、「自分にはこんな考えがあったのか」と気づいたり、思い出したりすることができました。問いかけをする側と受ける側、両者の視点から多くの発見をすることができました。

 講義や体験を通じて、「問いかけ」の基礎や、意味、そして難しさを知ることができた

ところで、1日目は終了しました。


2日目

 2日目は、「インタープリテーションについて」の講義から始まりました。1日目の野外での実習で起きていたことをふりかえり、相手が投げ返せる問いかけをすることや、

問いかけは事前に用意できないことが多いことなど、インタープリテーションの視点から、問いかけについてさらに理解を深めていきます。

 そして今回の目玉、インタープリテーション実習の時間がやってきました。

「『気づき・対話・問いかけ』を意識して伝えてみよう!」をテーマに、それぞれの

グループに配られたプログラムをアレンジして、実際にそのプログラムを実施します。

限られた時間の中で、案を出し合いながら、何とかプログラムを完成させていきます。

 あっという間に実施の時間。「実施者」、「参加者」、「オブザーバー」に分かれ

相互実施しました。短い準備時間の中でしたが、どのグループも対話が生まれる素敵な

プログラムでした。実施をしていない時間も、参加者としての感情の変化を感じ取ることができたり、オブザーバーとしてプログラムの展開を俯瞰して見ることができたりと、貴重な時間を過ごすことができました。







 

 




室内に戻ってからは実習のふりかえり。まずはグループ内で、自分たちが実施した

プログラムについてふりかえりました。そして、「実施者チーム」と「問いかけチーム

(オブザーバー)」の2組で、「問いかけチームミーティング」を行います。

 問いかけチームは実施者チームのふりかえりを聞きながら、実施者チームが実習をして

得た学びをより深め、支援するために、自分たちができる「問いかけ」を考えます。

このミーティングを通して、問いかけを受けたり、考えたりすることで、「こうすれば

よかったのか!」と、次に活かすことができる前向きな反省を多く生み出すことができたのではないでしょうか。



 1日の最後には、夜の森を楽しむナイトハイクへ!フォックスウォークや、鏡を使って

ヤマネの視点を味わったり、四つん這い歩きをしてみたりと、人間とは違う時間や場所で

暮らす動物たちの気持ちを感じることができました。


3日目

 最終日は、少し早起きをして朝のさんぽから。凍った川の上を歩いたり、虫めがねで

霜を観察してみたりと、冬の清里ならではの朝の時間を、五感を使いながら楽しみました。

 


 朝の気持ち良い空気を全身で浴びた後は、今までの学びをより深めるための、「補いの

講義」の時間です。かっきーからは、問いかけのポイントについて教えていただきました。深い学びを作るためには、聞き方や問いの言葉、投げかけ方を考え、相手の内側にある言葉を引き出すことが重要であることを学ぶことができました。

 ラビットからは、インタープリターの視点から「問い」について考える講義です。

ただ質問するだけでは、深い学びを得ることはできません。そんな、「適切さを欠く問い」や、「インタープリテーションにおける問いの意図」についてなどを学ぶことができ、

問いかけの重要性を改めて実感することができました。また、問いかけられた人が答えやすくする「場作り」や、参加者を「待つ」ということも、インタープリターとして重要な役割です。プログラムの中で、参加者同士が主体的に学び合う、「ラボラトリー」をいかに作ることができるか。問いかけは本当に奥が深いものですね!



 自分の中に秘めている気持ちを、自分から話し始めることはかなり勇気が必要です。

しかし、対話や深い学びが生まれるのは、そうした自分自身の内側の想いに気づいたり、

言葉にしたりするときであることを学びました。その場に対話を生むために必要なのが、

今回のテーマである「問いかけ」。より多くの言葉を学んだり、人との関わり方を知ることで、効果的な「問いかけ」ができるようになれば、皆さんのそれぞれの場所で、学びの多い対話が絶えず広がっていくのではないでしょうか!


 ご参加していただいた皆さん、本当にありがとうございました。今回のセミナーで得た

学びが、皆さんからより多くの人へ伝わっていくことを心より願っております。

またいつでも清里に遊びにいらしてください!



文責:鈴木(しゅんしゅん)

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