【日程】2014年12月13日(土)~14日(日) 【会場】清泉寮本館ホール
第48回を迎えた冬のやまね学校。今回のテーマは冬眠中のやまねのベッドの研究でした。参加者は大人16人子ども6人で、首都圏はもちろん、遠くは大阪や岡山からもヤマネについて知りたい老若男女が集まりました。
【1時間目】:心と体をほぐす時間
この時間では「2人なんでもフルーツバスケット」という参加者同士のコミュニケーションやお互いのことを知りあうアクティビティを実施。「東京から来た人~」や「電車で来た人~」というお題に多くのペアが動いていました。子どもたちがオニになることもありましたが、みんな頑張ってお題を出していました。「やまね学校を楽しみにしている人~!」というお題が出るとみんな一斉に飛び出し、参加者のワクワクしている気持ちが伝わってきました。
【2時間目】:やまねのすむ森たんけん隊
この時間は2グループに分かれて、清里の森とヤマネの基本情報を紹介する時間でした。先ずは八ヶ岳自然ふれあいセンターで鳥の巣とヤマネの巣を見比べてどんなところが違うのかみんなで観察し、その後清里の森に出てヤマネが実際に子育てするために作った巣を見に行きました。森に入るとすぐに参加者からあれもこれもと声が上がり、清里の森にはヤマネが住んでいることを実感できました。
【3時間目】:小講義&実験①「ヤマネを観察しよう!」
部屋に帰ってくると、やまね学校の校長先生である湊先生からヤマネの写真がいっぱい入ったスライドつき講義がありました。ヤマネについて詳しくなったところで、いよいよ本物のヤマネ達が登場!すやすやと冬眠しているヤマネが何分かけてどのようにして起きてくるのか、大人も子どもも興味深々な様子で観察しました。その際に直接触れなくても温度がわかる温度計を使い、5分ごとの体温変化も調べました。
【4時間目】:実験②「ヤマネのベッド大研究!」
ここからが今回のやまね学校の本題!森の中にある4つの土壌環境(土、砂利、落ち葉、おがくず)が様々な気象条件によってどのように温度変化していくのかを調べました。実験は土壌環境ごとに4つのグループにわかれて、表面だけでなく地下3cm、6cm、9cmもあわせて2分ごとに温度を取りました。子どもたちもそれぞれ時間係や記録係、風を起こす係など役割をもって積極的に参加していました。他のグループの結果も覗き見し、実験の感想をグループごとに言って1日目の全体プログラムは終わりました。じっくりとした考察は明日へのお楽しみ!
【放課後の時間】:①「ヤマネの気持ち?!体験」②「暖炉を囲んでおしゃべり」
この時間は出ても出なくても、また①と②どちらに参加しても大丈夫なオプションプログラムの時間。 オプションプログラム①「ヤマネの気持ち?!体験」は夜の森へ出て行き、冬眠ヤマネの気持ちになって寝転がってみよう!という少し過酷(?)なプログラム。それにもかかわらずまだ元気のある多数の方が参加していました。銀マットを敷いたりお尻に敷くシートを掛布団のように被ったりすると、中には「温かい!」と言う参加者もいました。冬の清里の森でも寝床の工夫次第では寒さを和らげることが出来るとわかりました。 オプションプログラム②「暖炉を囲んでおしゃべり」は暖炉の前で参加者さんからの差し入れやお茶を味わいながらのトークタイム。ヤマネトークやキープトークなど夜まで話題は尽きません。ヤマネを通して集まった人々の輪が強くなっていくのを感じました。 最後に【4時間目】で使った素材をヤマネのいるゲージに置き、明日の朝実際にどこで寝ているか予想して終わりました。
【朝練の時間】:「朝の散歩」
朝のオプションプログラムは清里の朝散歩。冷えきった清里高原の霜柱をザクザク踏んで牧草地に向かいます。すると辺りがだんだんと明るくなり…、ついに秩父の山から太陽が出てきました!みんなでお日さまの光を浴びたら長く伸びた影を使って影絵遊びをし、他にも雪の上に残った夜行性の動物達の足跡を探したりました。
【6時間目】:ヤマネのベッドの秘密をかんがえてみよう
まずはヤマネのベッドの秘密を考える前に、まずは昨日の夜にセットしたヤマネの寝床チェック!結果は2頭とも土の上ですやすやと寝ていました。 ではなぜ土の上で寝ていたのだろう…。そんなことを考えながらそれぞれのグループで昨日取ったデータを見ながら考察がはじまりました。考察結果は「地下まで温度変化の激しい落ち葉」、「固いけれどもし9cmまで掘ることが出来れば意外と快適な砂利」、「湿度があると温度が安定するおがくず(朽ち木)」、「少し掘ると温度が低い所で安定している土」となり、それぞれのグループがそれぞれの土壌環境の特徴を鋭く捉えていました。 校長先生によるミニ講義が入った後、また校長先生と一緒に森に出て実際にヤマネが冬眠していた場所を見に行きました。実際の森の土や朽ち木の温度を測ってみるとほぼ0度で、これはヤマネ達が冬眠するのに最も適した温度だと教えてもらいました。これが清里にヤマネが多い理由だよと先生が言うと、みんな納得している様子でした。
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【7時間目】:校長先生の講義
最後の授業はまとめの講義。お話はなんと地球誕生の話から始まり、ヤマネのご先祖様のお話やヨーロッパから日本にやってきたヤマネの旅のお話などどれも興味深いものでした。最後に写真やイラストを使ったヤマネの冬眠ベッドのお話があり、これこそが氷河期など様々な気候変動にも負けず現代まで生き延びているヤマネの強さの秘密なのだと教えてもらいました
【おわりの会】
おわりの会では全員で輪になって、一人一人順番に、今回のやまね学校の感想を言い合いました。子ども達は照れてしまってなかなか感想を言えませんでしたが、頑張って「実験が楽しかった」ことや、「ヤマネが足元にいるかもしれないということに驚いた」と発表していました。最後に集合写真を撮って、第48回やまね学校は閉校しました。
※ヤマネの保護飼育に関しては、関係省庁の許可を得た上で行っています。
(文章:山本 淳晴)
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