top of page
anishio

第77回清里インタープリテーションセミナー(入門編)~どうして五感が大事なの?~

更新日:2022年8月2日

【講師】鳥屋尾 健 (公益財団法人キープ協会 環境教育事業部 事業部長)

【日程】2022年7月 1日(金)~ 3日(日)

【会場】清泉寮自然学校(公益財団法人キープ協会/山梨県北杜市高根町清里)


●はじめに

 全国的に異例の猛暑日が続く中、第77回インタープリテーションセミナーが開催されました。北は北海道、南は鹿児島まで、全国から24名の皆様にお集まりいただきました。


 今回は「どうして五感が大事なの?」をテーマに、以下のねらいを設定しました。

  ①インタープリテーションの考え方や手法について学ぶ。

  ②自然体験型環境教育について学ぶ。

  ③自分自身のねらいを達成する。


 また、これらのねらい達成のために、以下3つを設定しました。

  ①体験から学ぶこと

  ②お互いから学ぶこと

  ③楽しみながら学ぶこと


 室内での講義に加え、実際にフィールドに出て体験をする時間も多く、充実した3日間になりました!


●1日目:「インタープリテーション」について学ぶ!

 開講式が終わると、まずは心と身体のウォーミングアップとしてアイスブレイキング(心ほぐし・身体ほぐしの時間)を行いました。好きな季節ごとに分かれたり、皆さんの出身地ごとにまとまって「人間マップ」を作ったりすることで、話しながらお互いの事を知り、あっという間に緊張もほぐすことができました!


 和やかな雰囲気の中、まずは体験から!ということで、2班に分かれ自然体験を行いました。やっさん(鳥屋尾 健)の班では、目を瞑って太陽や風の向きを五感で感じる「感性の体操」、自分が拾った葉っぱの中で、お題に沿った葉っぱを出しあう「葉っぱっぱ」、お題の色の自然物を探す「色探し、色合わせ」、小さなカップの中に自分だけの森を作り紹介し合う「ひとつだけの森」という活動を行いました。


 みかんちゃん(山下 美夏)の班では、「感性の体操」や、フィルムケースの中の自然物を音で聞き分ける「みみみみ」、鏡を使ってヤマネの気持ちを味わう「スキヤキハイク」、自然物を料理のように盛り付ける「めでたべる」を行いました。めでたべるでは「居酒屋 やまね」と題し、オトナ向けの居酒屋メニューを作り盛り上がりました。どちらの班でも、「五感」を使ったインタープリテーションを体験することができ、今まで知らなかった森の楽しさや、様々な気づきを得ることができたのではないでしょうか。



 自然体験の後は、それぞれの今回の目的の共有と自己紹介の時間です。目的を共有することで、改めて今回の講座でのどんなことを学び、活かしていくのかを整理するほか、皆さんの普段の活動や、それに伴った今回の目的を知ることができました。「自然と大人との距離を縮めたい」、「子供に対して教え込みではない伝え方を学びたい」など、それぞれのこの講座に対する想いを分かち合いました。

 自己紹介が終わると、講師のやっさんによるインタープリテーション概論が始まりました。「インタープリテーションとは」についてや、特徴、どんな場面でインタープリテーションが使われているかといった、基礎的な部分について学んだあと、実際にインタープリテーションをするワークを行いました。テーマである「自分の持ち物」についての熱い思いを語り合い、楽しみながらインタープリテーションを体験することが出来ました。夕食をはさんでからは、春夏秋冬の季節を感じた五感の記憶を振り返るワークを行いました。振り返ってみると、五感と記憶は密接にかかわっていることが分かり、記憶に残る体験活動に五感は欠かせないことを知ることができました。

最後にグループに分かれ、今日1日のふりかえりを行いました。インタープリテーションの体験を通して、五感を使う事による新しい気づきや、自分の感性の変化を感じることができました。



●2日目:「インタープリテーション」をやってみよう!

 2日目も朝から快晴!2班に分かれて、朝散歩からスタートです。みかんちゃん班では、モミの匂いを嗅いだり、笹についた朝露を観察したり、チャム(田中 聖子)班では、八ヶ岳の紹介や、大きな白い布に木漏れ日を写す「木漏れ日キャッチ」をしたりと、五感を使いながら、清里の朝の爽やかな空気を感じることができました。




 2日目最初の講義では、説明型・参加型・参加者主体型の3つの型について確認をした後、導入・展開・まとめ、それぞれどんなことが大切か意見を出し合い、プログラム作りに必要な「流れ」について学ぶことができました。

 これらを踏まえ、いよいよインタープリテーションの実践です。3人1組に分かれ、グループでプログラムを一から練っていきます。自分たちの心が動いたものや、伝えたい事を挙げ、プログラムやねらいを徐々に突き詰めていきます。1人の感性より、3人の感性があると、その分だけ気が付くことが多くなり、プログラムにどんどん厚みが増していくのが分かりました。

 あっという間に発表の時間です。「ヤ・ツ・ガ・タ」グループと、「ケ・ノ・モ・リ」グループの2グループに分かれ、それぞれが考え抜いたプログラムを実施していきます。実際に実施してみると、反応や意見が人それぞれで面白い部分もありながら、思い通りにはいかず自分たちのねらいを伝える難しさも感じることができました。短い準備時間の中にもかかわらず、面白いプログラムばかりで、とても充実した発表の時間となりました!


 自然学校に帰った後はふりかえりの時間です。皆さんからもらったフィードバックの紙や、自分が感じたことなどをグループ


で共有していきます。自分たちでも気づいていた反省点のほかにも、気づいていなかった改善点や良かった点を知ることができました。もう一度実践する機会があれば、今回よりさらに良いプログラムを行うことができそうですね!

 実践やふりかえりを踏まえて、「インタープリテーションで大切だと思う事」を発表し合いました。インタープリテーションを行う上で、自分の伝えたいことがプログラムの柱になると思います。自らの大切にしたいことを理解することができる貴重な時間になりました。


 夕食後は再び2班に分かれナイトハイクに出発です。夜の静かな雰囲気の森の中に足を踏み入れます。森の中では、夜の時間を生きる動物たちの気持ちになってみたり、1人になり、森の中で自分と向き合う時間をとったり、ろうそくの火を使った視覚の実験をしてみたりと、2班とも特別な時間を過ごすことができました。外から見ると暗くて怖いイメージのある夜の森ですが、中に入ってみると怖さから楽しさに変わっていく不思議な感覚を味わうことができましたね。


 1日の振り返りでは、インタープリテーションを実践した感想を言い合ったり、ナイトハイクで感じたことなどを共有しました。雑談などの交流もし、和気あいあいとした楽しい雰囲気で2日目が終了しました。



●3日目:「五感の大切さ」を自身の活動(日常)につなげる

 3日目最初は安全対策についてです。これまでに体験したヒヤリハットの共有や、プリントを使った「危険予知トレーニング」を行い、体験は危険と隣り合わせであることをしっかりと理解しました。

 今回最後の実習では、テーマである「どうして五感が大事なの?」について、この3日間で学んだこと、体験したことから、自分なりの考えを出しました。皆さんの考えから、五感を使うことは「記憶」や「人生の経験」、「感情への働きかけ」に繋がるという言葉が出され、体験に奥深さを持たせるものであると理解することができました。自分のメッセージ、そして、自然からのメッセージを誰かの心に残してもらうために、これからも五感を使ったインタープリテーションを意識していきたいですね。


 すべての実習が終わり、3日間のふりかえりとわかちあいの時間です。自分のねらいの達成度や、印象に残ったこと、今後の活かせそうなことをふりかえり、共有をしました。ほとんどの方がねらいを達成でき、達成できなかった方も、今後の生活で達成するためのきっかけにすることができました。

 閉講式では、参加者同士で修了証を渡し合い、お互いの今回の努力を称え合いました。皆さんの意見や考えから気づかされるものや、学んだことが多くありました。今回の出会いを大切に、これからもインタープリターの仲間としてお互いに学び合える関係でありたいですね。

 参加していただいたみなさん、3日間本当にありがとうございました!それぞれの場所でのご活躍を心より願っております。また清里に遊びに来てくださいね!


文責:インターン 鈴木(しゅんしゅん)





閲覧数:420回0件のコメント

Commenti


bottom of page